概要
情報通信研究機構は、株式会社クレアリンクテクノロジーが開発した新しい映像伝送プロトコルHpVT(High-performance Video Transfer)を用いて、気象庁との覚書に基づいたモバイル通信網(LTE/4G)を活用した高品質な火山監視映像伝送システム開発に成功した。気象庁では、111の活火山のうち常時観測火山である50火山について火山監視カメラでモニタリングしているが、低フレームレートでの映像伝送にとどまっており、より高品質な映像のリアルタイム伝送が期待されています。本実験では、HpVTプロトコルを用いて高感度火山監視カメラ映像を従来の10倍以上高いフレームレート(30fps)でリアルタイム伝送するシステムを開発し、同システムを気象庁浅間山観測所の一つである鬼押し出し園に設置した。また、株式会社IoTコンサルティングの協力により格安SIMを用いた火山監視カメラ映像伝送を行い、1か月間以上の昼夜にわたり低コストで高品質の火山監視映像の伝送を達成した(図1)。格安SIMを用いることで、これまでよりも安価に映像伝送ができるため、高速通信環境がない場所での火山監視が期待できる。k2goプロジェクトではこの実績をもとに、様々な耐災害監視カメラの導入の検討を進めている。
詳細
図1は気象庁鬼押し出し園の浅間山火山監視施設です。超高感度カメラ(アナログ出力)が設置されており、本実験ではアナログ信号を分岐して、SmartSightカメラ(TYPE II)に入力しました(図2)。その結果、昼間、夜間の両方において画質640p、最高フレームレート25fpsでの映像伝送に成功しました。(特に夜間については鬼押し出し園からは浅間山が目視で確認できない程度の暗さです。)また、高時間分解能性能を活かし、気象庁カメラでは難しい流星撮像が可能であることも明らかになりました。
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参考文献
- T. Murata, P. Pavarangkoon, S. Phon-Amnuaisuk, T. Mizuhara, K. Yamamoto, K. Muranaga and T. Aoki, "A Programming Environment for Visual IoT on Raspberry Pi," in The 5th IEEE International Conference on Cloud and Big Data Computing (CBDCom 2019), Fukuoka, Japan, Aug. 5-8, pp. 987-992, 2019, doi: 10.1109/DASC/PiCom/CBDCom/CyberSciTech.2019.00180.
- T. Murata, T. Mizuhara, P. Pavarangkoon, K. Yamamoto, K. Muranaga and T. Aoki, "Design and Development of Real-Time Video Transmission System Using Visual IoT Device," Proc. 12th Multi-disciplinary International Conference on Artificial Intelligence (MIWAI 2018), Lecture Notes in Artificial Intelligence, vol. 11248, Hanoi, Vietnam, Nov. 18-20, pp. 263-269, 2018, doi: 10.1007/978-3-030-03014-8_25.
- T. Murata, T. Mizuhara, P. Pavarangkoon, K. Yamamoto, K. Muranaga and T. Aoki, "A Proposal of Visual IoT for Real-Time Monitoring," IEICE Technical Report, vol. 118, no. 38, Yokohama, Japan, May. 17-18, pp. 43-46, 2018.
謝辞
本実験では、気象庁(浅間山・鬼押)観測所のご協力をいただきました。
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